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Poison & Medicine ブログ 毒と薬

2024.7.12

豊寿苑

「竜神祭」で感じた”ケアの倫理”

6月12日、アジサイが満開の豊寿苑庭園で恒例の「竜神祭」を執り行いました。

庭園の「相生(あいおい)の松」の下、池の近くに祠(ほこら)があり、「八大龍王(はちだいりゅうおう)」という蛇の神様をお祀りしています。蛇は水の神様であることから「弁財天」と同体とされています。

梅雨の最中ということもあって、庭園の祭場にテントを張り巡らせました。
しかし、今年は昨年に続き晴天に恵まれ、テントは日よけとして利用しました。

当日は50名近いご利用者が参列されました。
小牧神明社の宮司さんによる祝詞(のりと)奏上に続いて、宮司さんがご利用者さんに向かい大幣(おおぬさ)を振ってお祓いしました。どなたも神妙な顔つきで頭(こうべ)を垂れておられました。

このあと、ひとりずつが祠の前に進み、榊(さかき)の小枝に紙垂(しで)を付けた玉串(たまぐし)を神様に供えておまいりしました。

参拝を終えると、満開のアジサイが咲く池のまわりをめぐって施設に戻り昼食の席に着きます。

そのさいは、安全のためスタッフがマンツーマンで付き添います。
スタッフは参拝を済ませたご利用者を施設内に送り届けると、別のご利用者の付き添います。これを何度も何度もくり返すので、結構骨が折れる仕事です。


ご利用者の中には二礼二拍手一礼をしてじっくりおまいりする方もおられました。
そうした方の気持ちに寄り添いながら動いているように見えたスタッフもいれば、おまいりを適当に切り上げさせテキパキ業務をこなしているように見えたスタッフもいました。

当苑のご利用者は、他者の介護に頼らなければ生活できない人たちです。つまり、介護する側の対応次第で、その人の生命や身体の安全さえ左右されるということです。
“ケアの倫理”では、この状態を「脆弱性/傷つけられやすさ(ヴァルネラビリティ)」と呼んでいます。

ケアする側に立つわたしたちは、こうした不平等な関係性のうえにあることを噛みしめながら、傷つけられやすい人たちが傷つかないように配慮する必要があります。

「竜神祭」でわたしの目に映ったスタッフのふるまいと態度のちがいは、その配慮のちがいなのかと感じた次第です。

文・写真 GM 塚原立志

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