Poison & Medicine ブログ 毒と薬
2013.8.12
音楽とアート
音楽ライターとして
前にも書いたように、私は現在、『ミュージック・マガジン』と『レコード・コレクターズ』という月刊の音楽雑誌でワールド・ミュージックの紹介記事を書かせてもらっている。
『ミュージック・マガジン』は、音楽評論家の故・中村とうよう氏が1969年に創刊したロックやブラック・ミュージックなどを扱う日本初の本格的な音楽批評誌。その歯に着せぬ論調には高校時代から一目置いていた。毎号欠かさず購読するようになったのはワールド・ミュージックを積極的に取り上げるようになった80年代終わりからである。『マガジン』とか『MM』と略称されることがある。
『レコード・コレクターズ』は『ミュージック・マガジン』の別冊として82年に創刊。『ミュージック・マガジン』が新作中心に対してこちらはリイシュー(再発)盤の紹介が中心である。特集はビートルズ関連が多い。こちらは『レココレ』または『RC』と呼ばれる。
『MM』と『RC』は、いまも賛否含め、ポピュラー音楽批評の指標になっている。そんな権威ある音楽誌にほぼレギュラーで文章を書かせてもらっているとは名誉な話で、学生時代の自分だったら尊敬してしまうだろう。もっとも洋楽ファンが皆無といっていい豊寿苑でこの話をしても無反応だが‥‥。
きっかけは私が2003年に個人的に起ち上げたワールド・ミュージック批評サイト “Quindembo” が編集者の目にとまったことだった。だからもう、縁ができて7、8年になるだろうか。
私が専門とする「ワールド・ミュージック」というジャンルは、いわゆる世界の民族音楽や民謡ではなくて、世界各地のポピュラー・ミュージックの総称である。 たとえば、中央アフリカのコンゴ民主共和国で50、60年代に完成されたルンバ・コンゴレーズ。これは植民地時代から独立期にかけて、レコードやラジオを通じて、ヨーロッパから入ってきたポップスやジャズ、なかでもキューバ音楽に、伝統音楽の要素がかけ合わされて生まれた都市音楽である。
このようにポピュラー音楽は、その国や地域の人びとの文化や好みに応じて変化する。裏を返せば、ポピュラー音楽を聴けば、その地域や人びとの文化やライフスタイルが見えてくるというわけである。
ここは音楽を専門的に論じる場所ではないのでこれ以上は踏み込まない。興味のある方は私のHP“Quindembo”、または『ミュージック・マガジン』と『レコード・コレクターズ』を覗いてみてください。
で、何が言いたかったというと、医療・介護業界で、小牧という人口15万人の地方都市で、私はいつも多くの人びとに囲まれながらも、いいようのない孤独感を味わっている。『MM』と『RC』への寄稿は、自分が外の世界とつながっていると実感できる安心材料であり、かけがえのない自己承認の場なのである。