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Poison & Medicine ブログ 毒と薬

2024.11.15

豊寿苑

エッセイ

全力を傾けた『運営指導』…「で?」

デスクに平積みされた点検書類の、ほんのごく一部

昨日、「運営指導」が無事終わりました。

「運営指導」とは、かつては「実地指導」と呼ばれ、愛知県監査指導室を中心に、介護保険法に則って適切な運営がおこなわれているか、終日かけてする立ち入り検査です。

私たち「介護老人保健施設」は、「特別養護老人ホーム」と同じく、サービスの大半が公的な介護保険で賄われています。そのため、法令に定められた事柄が間違いなくおこなわれ、文書に記載されているか、隅から隅まで調べられます。

これまでは2年に1回でしたが、今回から3年に1回になりました。

その背景には、おおむね6年に1回だった「住宅型有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」などの民間介護施設で、近年、不祥事が相次いだことから行政の立入検査が3年に1回になったことがあるようです。

「運営指導」を迎えるにあたっては、それはもう、たいへんな労力がかかります。

だから、3年ごと(トリエンナーレ!)になったのは私たちにとってありがたい話ではありますが、“己(おのれ)を正す”いい機会になっていただけに、職場の空気が緩みはしないか心配でもあります。


今年は当苑を開設して30年に当たります。

たび重なる法令改定で介護施設がおこなうべき事柄は増え続け複雑になって、いまや、これらを理解し応えられるのは、相談室、リハビリ、管理栄養、看護・介護の役職クラスなど、ごくひと握りのスタッフになってしまいました。

そのため、たとえば、委員会ひとつを起ち上げるに際しても、規程の作成から、メンバーの選定、日程の調整、議事の進行、議題の決定、スタッフへの告知、研修の講師役まで、(私を含め)計5人ぐらいの中間管理クラスが担わなければならないのが実情です。

これら定例の会議や委員会が10以上あるため、すべてを”まとも”にやっていたら、日常の仕事が回りません。


今回も「運営指導」の日程が決まってから、相談室と私とが手分けして総点検をおこない、足りないところは事実に即して手直ししました。

介護施設で働くスタッフの9割以上は、現場に直接ついて働く、基本的にはブルーカラー労働者です。

ひとと直接関わる対面的な行為はお手のものでも、その行為を反省し「客観的」規準で文章にするのが不得手な人たちが大半です。

だから、かれらが残した記録を事務作業に慣れたひと握りのひとたちがチェックして修正せざるを得ません。これは「文書改ざん」ではなく「リテラシー」、つまり読み書きのテクニックから来る問題です。

ただ、これ以上、事務的な負担を増えていくと、私たち程度の規模の施設では、財務省の「森友公文書」とは逆の、やっていないのに書類上、やったことにする「改ざん」に踏み込まないと処理しきれなくなります。


いっぽう、一般の看護・介護スタッフはというと、毎回、朝礼で「運営指導」があることをあれだけくり返し話していたにもかかわらず、「運営指導」前日に朝5時から仕事に来ていた私を見かけ、あいさつのあと、にこやかに…

「マネージャー、なにかあったの?」

最近は、新しく法令が施行されるたび、「全職員に周知徹底すること」の文言が付いています。

だから、タイムレコーダーのある場所に掲示したり、フロアごとに文書を配ったり、ネットワーク上で告知したり、朝礼などでくり返し話したり、努力はしているのですが、結果は右のとおり。

今日の朝礼でも、昨日の「運営指導」での改善指示事項を読み上げ、結果を報告したのですが、各フロアにちゃんと伝わっているのかなあ。伝わっていないだろうな。

さあ、明日は今シーズン最初のレース「神戸マラソン」へ出発だ!

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